「不敗のドキュメンタリー」土本典昭著

公開日: 更新日:

「水俣―患者さんとその世界―」など多くの記録映画を世に送り出した映像作家のエッセー集。

 1970年発表の「水俣ノート」と題された一文では、撮影のため水俣病多発地帯の部落に暮らした日々がつづられる。氏はその5年前にテレビのドキュメンタリー番組で水俣を取材。今回は、かつて「迫り得なかった一つの課題へのもう一たびの試みである」のだが、そのきっかけとなったのが患者の松永久美子さんだった。口も手も動かせず無反応の彼女にカメラを向けた時、「なぜ? 何のために? どの地点に立って撮っているのか?」という問いを彼女自身から迫られている感覚に襲われたからだ。

 そのほか、「映画と現実とのかかわりについて」など、自らの仕事と思索の一端を明かしながら語られる映画論。

(岩波書店 1320円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    JリーグMVP武藤嘉紀が浦和へ電撃移籍か…神戸退団を後押しする“2つの不満”と大きな野望

  2. 2

    広島ドラ2九里亜蓮 金髪「特攻隊長」を更生させた祖母の愛

  3. 3

    悠仁さまのお立場を危うくしかねない“筑波のプーチン”の存在…14年間も国立大トップに君臨

  4. 4

    田中将大ほぼ“セルフ戦力外”で独立リーグが虎視眈々!素行不良選手を受け入れる懐、NPB復帰の環境も万全

  5. 5

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  1. 6

    FW大迫勇也を代表招集しないのか? 神戸J連覇に貢献も森保監督との間に漂う“微妙な空気”

  2. 7

    結局「光る君へ」の“勝利”で終わった? 新たな大河ファンを獲得した吉高由里子の評価はうなぎ上り

  3. 8

    飯島愛さん謎の孤独死から15年…関係者が明かした体調不良と、“暗躍した男性”の存在

  4. 9

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  5. 10

    中日FA福谷浩司に“滑り止め特需”!ヤクルトはソフトB石川にフラれ即乗り換え、巨人とロッテも続くか