「阿賀の記憶、阿賀からの語り」関礼子ゼミナール編

公開日: 更新日:

 元教員の稲垣シズヱさん(79歳)は、子どものころは、カワウソのように川で遊び、阿賀野川や新川の川魚をよく食べ、短大の寮で生活していたときは、お腹がすくと母親が送ってくれた川魚の「ふりかけ」をお昼代わりにして空腹をしのいだという。そうした阿賀野川の豊かさが、一転して、食物連鎖でメチル水銀を川魚に取り込み、水俣病の甚大な被害を生んだ。

 水俣病とはなにか。なぜ被害者を長く沈黙させてきたのか、被害者はなにを恐れ、なにを苦しみなにに目をそむけて沈黙してきたのか――。

 本書は、その“なぜ”という問いに向き合い、新潟水俣病の語り部を務める8人の被害者の言葉をまとめた証言集である。(新泉社 2000円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?

  2. 2

    国分太一が社長「TOKIO-BA」に和牛巨額詐欺事件の跡地疑惑…東京ドーム2個分で廃墟化危機

  3. 3

    「地球を救う前に社員を救ってくれ!」日テレ「24時間テレビ」が大ピンチ…メインスポンサー日産が大赤字

  4. 4

    仰天! 参院選兵庫選挙区の国民民主党候補は、県知事選で「斎藤元彦陣営ボランティア」だった

  5. 5

    たつき諒氏“7月5日大災害説”を「滅亡したんだっけ」とイジる古市憲寿氏に辛辣な声が浴びせられる理由

  1. 6

    参政党・神谷代表は早くも“ヒトラー思想”丸出し 参院選第一声で「高齢女性は子どもが産めない」

  2. 7

    兵庫は参院選でまた大混乱! 泉房穂氏が強いられる“ステルス戦”の背景にN党・立花氏らによる執拗な嫌がらせ

  3. 8

    「国宝級イケメン」のレッテルを国宝級演技で払拭 吉沢亮はストイックな芝居バカ

  4. 9

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題?

  5. 10

    近年の夏は地獄…ベテランプロキャディーが教える“酷暑ゴルフ”の完全対策