平成を振り返る本特集

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「生活者の平成30年史」博報堂生活総合研究所著

 平成時代も残すところ4日。新しく始まる令和が、より良い時代になるよう、平成の30年をしっかり総括し、良い面と悪かった面を評価、検証しておくことも大切だ。そこで平成最後の週末は、さまざまな視点から平成を振り返る本を集めてみた。

 膨大な調査データを基に、日本人の意識や行動、価値観の変化から平成時代を振り返る。

 かつて社会のマジョリティーだった「夫婦と子ども世帯」は40%(1985年)から26・9%(2015年)に低下。単身世帯が34・6%と最も多い類型になった。

 その他、専業主婦と共働き世帯の逆転など平成には昭和の「標準」がさまざまな側面でなくなり、人生の自由化と多様化が進んだ。人々の生活レベル認識は意識上、まだ根強く「中流」だが、消費意欲は消費にも節約にも向かわず「低位安定」、未来に楽観も悲観もせず、この先の見通しも同じようなら、身近なところに楽しみを求めようという認識が浮かび上がる。

 生活者がこうした認識をする今の社会を本書は、熱くも冷たくもない社会=「常温社会」と命名する。

 (日本経済新聞出版社 2000円+税)


「平成史講義」吉見俊哉編

 社会学者の編者は、バブルの絶頂に始まり崩壊した平成史は「詰まるところ、グローバル資本主義の現代史」になると語る。また一方で、阪神・淡路大震災と東日本大震災、それと共振して起きたオウム真理教事件と原発事故のショックから立ち直る「災後」のプロセスが、平成を貫いているとも指摘。このグローバル資本主義や自然災害という外部的力が働く中で、平成における歴史の主体とは誰で、それらの人々や組織はどのような状況に置かれ、いかなる営みを重ねていったのか。

 本書では、天皇、政府と政治家、官僚と行政機構、企業と従業員、若者、対抗勢力、メディアとジャーナリズム、中間層などの諸集団が平成をどう経験し、いかに時代に介入を試みたのかを、各分野の第一人者がそれぞれのテーマで論じていく。

 (筑摩書房 900円+税)

「平成野球 30年の30人」石田雄太著

「週刊ベースボール」にコラム「閃球眼」を20年近く連載している著者が、「Sports Graphic Number」で発表したノンフィクション、インタビュー記事から、野球選手1年1人を選んでまとめたプロ野球でたどる平成30年史。平成元年の中畑清、平成6年の長嶋茂雄のほか、イチロー、斎藤佑樹、ダルビッシュ有、大谷翔平(写真)ら30人。それぞれが野球に懸ける本音と思いを率直に語っている。

 イチローが引退した平成31年は書き下ろし。「神様にひとつだけ、願い事を叶えてもらうとしたら」の質問に、「1年でも長く野球ができる体が欲しい」(松坂大輔)、「大谷翔平に変身したい(笑)。165キロを投げて、えげつない打球のホームランを飛ばしたい」(柳田悠岐)など、12人のスター選手が答えていて興味深い。 (文藝春秋 1700円+税)

「平成はなぜ失敗したのか」野口悠紀雄著

 平成の30年は、世界経済の大きな変化に日本経済が取り残された時代だった。それは「努力したけれども取り残された」のではなく、「大きな変化が生じていることに気がつかなかったために取り残された」のだと著者は指摘する。

 本書は、なぜ平成が日本にとって失敗の時代になってしまったのか原因を分析しながら、重要な選択の局面において本当はどうすべきだったかを考察した平成経済史。

 経済面から見ると、平成は大きく3つの期間に分けられる。バブル崩壊で痛手を受け金融機関が破綻した時代から、輸出依存型成長が日本経済の本当の解決策ではなかったことが明らかになった中期、そしてアベノミクスと異次元金融緩和に至るそれぞれの期間を総括。

 その上で、今後の日本経済が抱える問題と課題、その対処法を考える。

 (幻冬舎 1500円+税)

「平成新語 出どこはどこ?」中村三郎著

「オタク」とは漫画やアニメ、ビデオ、ファミコンなど、ひとつの趣味にマニアックにのめり込んでしまうタイプのこと。

 では、初めてその言葉を使ったのは誰か。白夜書房の漫画雑誌「漫画ブリッコ」の昭和58年6月号の中で、コラムニストの中森明夫が使った造語とされている。平成元年に連続幼女誘拐殺人事件の容疑者、宮崎勤が逮捕された時、大量のビデオテープが見つかり、「オタク」が注目された。

 結婚しても性的関係を持たなかったり、ほとんど夫婦生活のなかったりする状態を「セックスレス」というが、この言葉は、平成3年、順天堂大学の阿部輝夫助教授が初めて使用した。

「広辞苑」への収録をひとつの基準に、平成の30年間に誕生した新語200語の「出所」を解説。

 (柏書房 1600円+税)

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