「ゆびさきたどり」花房観音著

公開日: 更新日:

 鈴香は、初めて体を許した男に従って、生まれ育った里を出る。親ほども年齢が離れた男の「愛している」という言葉は、鈴香にとって魔法の言葉だった。

 年齢を偽り風俗店で働き始めた鈴香だが、やがて、自分が男にとって金を稼ぐ道具に過ぎないことに気づき、別の男と出奔。愛しているという言葉と、優しいふりをすることで、人の心を手に入れられると学んだ鈴香は男の体を喜ばす技術を武器にして生きていく。40歳を過ぎ、老いを感じた鈴香は客だった男と結婚。しかし、相手が故郷に戻り老親との同居を考えていることを知り、同じ社宅に暮らす別の男と逃げ出す。(「桜の里」)

 ほかに、引退したバーのママと10年ぶりに訪ねてきた年下の愛人との一夜を描く「枯れ菊」など5編を収録した欲情短編集。 (新潮社 490円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  3. 3

    「おこめ券」迫られる軌道修正…自治体首長から強烈批判、鈴木農相の地元山形も「NO」突き付け

  4. 4

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  5. 5

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  1. 6

    12月でも被害・出没続々…クマが冬眠できない事情と、する必要がなくなった理由

  2. 7

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  4. 9

    黄川田地方創生相が高市政権の“弱点”に急浮上…予算委でグダグダ答弁連発、突如ニヤつく超KYぶり

  5. 10

    2025年のヒロイン今田美桜&河合優実の「あんぱん」人気コンビに暗雲…来年の活躍危惧の見通しも