「上野 絶滅動物園」絶滅動物園プロジェクト企画・制作、佐々木シュウジ・文 武藤健二・写真

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 動物の写真集ではあるが、不穏な書名からもお察しの通り、ただかわいらしかったり、珍しいだけの動物たちの写真を編んでいるわけではない。日本を代表する東京都恩賜上野動物園で飼育・展示されている動物の中から、絶滅危惧種の指定を受けている動物すべての写真を紹介しながら、その現状を伝える写真集なのだ。

 ご存じのように絶滅危惧種とは、動植物の生息調査を継続的に行っている国際自然保護連合(IUCN)が、継続的な生息調査をもとに、その保全状況を示した9段階のカテゴリーの中で、「深刻な危機(CR)」「危機(EN)」「危急(VU)」のいずれかに分類されたもの。

 上野動物園で飼育されるCR指定の動物は「スマトラトラ」や「ヒガシクロサイ」「ニシゴリラ」など12種。

 20世紀初頭、世界には9種類のトラがいたが既に3種が絶滅。この100年で個体数は95%も減り、現在はトラ全体でおよそ4000頭が生息している。中でもスマトラトラはわずか500頭前後しかいないという。

 3種いるクロサイの中で最も希少な種であるヒガシクロサイ、過去3世代で90%以上も個体数が減少し、現在およそ740頭のみ。クロサイ全体では1960年代以降、97.6%も減少したという。その主な原因はツノ目当ての密猟だ。

 ニシゴリラの減少もエボラウイルスによる大量死や、レアメタル採掘のための鉱山開発などによる生息環境の消失などが挙げられる。

 どの動物たちの写真も、その底に諦念をたたえた目をしており、強い孤独を感じさせ、何ともやるせない気持ちになる。

 今、地球は6回目の大絶滅期の真っただ中にあるといわれている。地球が誕生してから約46億年、生命誕生から約38億年が経っているが、その長い生物の歴史の中で、火山活動や巨大隕石の衝突など、これまでに地球には「ビッグファイブ」と呼ばれる5回の大絶滅期があった。理由はいずれも地球自体の活動によるものだった。

 過去5回よりも圧倒的なスピードと量で生物たちが絶滅している現在の大絶滅期をつくり出してしまったのは人間だ。

 18世紀、遭難して孤島にたどりついたロシアのカムチャツカ探検隊は、ある海獣を捕獲して生き延びた。母国に戻りその報告を聞いた人々は、こぞって北の海に出かけ、その大海獣シウテラーカイギュウを徹底的に狩りつくし、発見されてからわずか27年で絶滅に追い込んでしまったという。

 種の絶滅とは、これほどまでにあっけなく、一度失ってしまった動物たちは、もう二度と蘇らない。

 アジアゾウやケープペンギン、タンチョウ、ジャイアントパンダ、ホッキョクグマ、アミメキリンなど、お馴染みの動物園の人気動物たちも、EN、VUに指定され収録されている。

 動物園にいて「当然」と思っているこうした動物たちが、今の子どもたちが大人になるころには、動物園からその姿を消してしまうかもしれないのだ。

 子どもと一緒に動物たちの行く末と地球環境について一緒に考える機会を与えてくれる最高のテキスト。

 (三恵社 1800円+税)

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