「ナチズムは再来するのか?」A.ヴィルシングほか編 板橋拓己ほか監訳

公開日: 更新日:

 英EU離脱問題で揺れる欧州。フランスの未来は暗雲だが、頼みのドイツも極右派勢力が急伸中。「再ナチ化」なんてあり得ないと一笑に付すことができなくなりそうだ。本書はこの問題をふまえ、代表的な歴史学者・政治学者7人がフランクフルトの新聞に寄稿した論集。

 核心のひとつが現代ドイツとワイマール共和国は似ているのかという点。ナチスと現代の右派政党「ドイツのための選択肢」(AfD)を安易に類比するのは左翼の思い込みという。細かな点では違うところのほうが多い。一番の共通点は両者のメンタリティーの相似、つまり不安や不満につけ込み、旧政党への感情的な敵意をむき出しにする点なのだ。

 驚くのはワイマール時代の主流派ジャーナリズムが特定の政党や勢力と野合して派閥化し、オフレコの記者会見で勝手に盛り上がっていたという話。まるで安倍政権と大マスコミの関係そっくりで背筋が寒くなる。

(慶應義塾大学出版会 1800円+税)

【連載】本で読み解く激動の世界情勢の行方

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    名球会入り条件「200勝投手」は絶滅危機…巨人・田中将大でもプロ19年で四苦八苦

  2. 2

    永野芽郁に貼られた「悪女」のレッテル…共演者キラー超えて、今後は“共演NG”続出不可避

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    07年日本S、落合監督とオレが完全試合継続中の山井を八回で降板させた本当の理由(上)

  5. 5

    巨人キャベッジが“舐めプ”から一転…阿部監督ブチギレで襟を正した本当の理由

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    巨人・田中将大が好投しても勝てないワケ…“天敵”がズバリ指摘「全然悪くない。ただ…」

  3. 8

    高市早苗氏が必死のイメチェン!「裏金議員隠し」と「ほんわかメーク」で打倒進次郎氏にメラメラ

  4. 9

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  5. 10

    三角関係報道で蘇った坂口健太郎の"超マメ男"ぶり 永野芽郁を虜…高畑充希の誕生日に手渡した大きな花束