「大酒の合戦 下り酒一番(四)」千野隆司著
下り酒問屋武蔵屋に西宮から銘酒灘桜4000樽が届く。昨年は例年にない豊作で、米の値下がりを防ぐために幕府が酒造量を増やしたため市場では下り酒がだぶついていた。
だが、主人の市郎兵衛が問屋仲間に見えを張り、去年の4倍も仕入れてしまったのだ。問屋の寄り合いでも抱えた在庫をどう売りさばくかが議題に上がる。市郎兵衛のお供で参加していた手代の卯吉の提案で、これまで下り酒に縁のなかった人に広めるため、大酒飲み合戦が催されることになった。そんな中、卯吉は市郎兵衛の妾(めかけ)に男の子が生まれたことを知り、本妻の小菊の行く末を案じる。
妾腹ゆえに孤立しながらも亡き父親との約束を果たすために武蔵屋再興に孤軍奮闘する卯吉を描く人気シリーズ最新刊。
(講談社 660円+税)