「ショートショートの宝箱Ⅳ」光文社文庫編集部編

公開日: 更新日:

「僕」は、わらにもすがる思いで知人に紹介された香水店を訪ね、迎えてくれた調香師の葉山に、父の匂いをつくって欲しいと依頼する。

 なぜか僕の頭から1カ月前に死んだ父親の記憶だけが消えてしまったのだ。SNSの書き込みを見ると、死ぬまでは普通に父を父として認識していたようだが、今は何も思い出せない。唯一、告別式のときに撮影された棺に入った父の写真を見ると、かすかな匂いが立ち上がってくる。その父の匂いを再現して嗅げば何かを思い出せそうな気がする。葉山によると僕が写真を見て感じる匂いは「幻臭=まどかぐわ」だという。(ピーター・モリソン著「まどかぐわ」)

 独創的な設定や鮮やかな結末など、奇想に満ちた掌編30作を収録。

(光文社 640円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  2. 2

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  3. 3

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  4. 4

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  5. 5

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  1. 6

    大炎上中の維新「国保逃れ」を猪瀬直樹議員まさかの“絶賛” 政界関係者が激怒!

  2. 7

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  3. 8

    維新の「終わりの始まり」…自民批判できず党勢拡大も困難で薄れる存在意義 吉村&藤田の二頭政治いつまで?

  4. 9

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

  5. 10

    SKY-HI「未成年アイドルを深夜に呼び出し」報道の波紋 “芸能界を健全に”の崇高理念が完全ブーメラン