「ショートショートの宝箱Ⅳ」光文社文庫編集部編

公開日: 更新日:

「僕」は、わらにもすがる思いで知人に紹介された香水店を訪ね、迎えてくれた調香師の葉山に、父の匂いをつくって欲しいと依頼する。

 なぜか僕の頭から1カ月前に死んだ父親の記憶だけが消えてしまったのだ。SNSの書き込みを見ると、死ぬまでは普通に父を父として認識していたようだが、今は何も思い出せない。唯一、告別式のときに撮影された棺に入った父の写真を見ると、かすかな匂いが立ち上がってくる。その父の匂いを再現して嗅げば何かを思い出せそうな気がする。葉山によると僕が写真を見て感じる匂いは「幻臭=まどかぐわ」だという。(ピーター・モリソン著「まどかぐわ」)

 独創的な設定や鮮やかな結末など、奇想に満ちた掌編30作を収録。

(光文社 640円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    渋野日向子に「ジャンボ尾崎に弟子入り」のススメ…国内3試合目は50人中ブービー終戦

  3. 3

    ソフトバンクは「一番得をした」…佐々木麟太郎の“損失見込み”を上回る好選定

  4. 4

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  5. 5

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  1. 6

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  2. 7

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  3. 8

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  4. 9

    後藤真希と一緒の“8万円沖縄ツアー”に《安売りしすぎ》と心配の声…"透け写真集"バカ売れ中なのに

  5. 10

    沢口靖子も菅田将暉も大コケ不可避?フジテレビ秋ドラマ総崩れで局内戦々恐々…シニア狙いが外れた根深い事情