「怖い患者」久坂部羊著

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 区役所で働く愛子は、職場のトイレで自分に対する陰口を聞いてしまって以来、恐ろしいほど嫌な気分に襲われ、冷や汗や震えを伴う発作が起こるようになった。心療内科でもらった診断名は「パニック障害」。自分の発作はパニック障害のように生やさしいものでなく、この世の終わりかと思うような絶望感を伴うものだと説明したが、わかってもらえず次々と病院を替えて受診する羽目に。なかなか納得のいく診療をしてくれる医師が見つからなかったが、あるとき親身になってくれる小川医師に出会う。おかげで症状は改善し仕事にも復帰できそうかと思った直後、先生の言動に不安を感じてその私生活を綿密に調べ始める……。(「天罰あげる」)

 現役の医師として、医療に関する現代的な問題を取り上げた作品で人気のある著者の最新短編集。本作には、冤罪をでっち上げて医師を廃業に追い込む患者、他人の不幸に快感を覚える医師、疑心暗鬼に陥る妊婦、復讐を果たすデイサービスの老人たちなどを主人公にした、医療の現場で起こり得るぞっとさせられる話を描いた5編を収録。リアリティーがあり過ぎて背筋が凍る。

(集英社 1600円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

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