「恋愛未満」篠田節子著

公開日: 更新日:

 東京近郊の学園都市に住む主婦の初恵は、市民吹奏楽団の創立メンバーの一人。団員は器用にフルートを操る小学生から80歳を過ぎた元ジャズマンまで総勢40人で、性格や過去まで知り尽くす家族のような間柄だ。

 ある日、初恵は同じ団員の津田孝正がクラリネット担当のひとみに急接近していると知り、カフェにひとみを呼び出した。大学教授の津田はハンサムでファンも多かったが、学問に打ち込みすぎたせいか50歳を過ぎていまだ独身。片やひとみも40歳目前で独身だ。津田の性格の良さを知る初恵はひとみをたき付けるが、その数日後、初恵とひとみは津田の本当の意中の相手を知る。なんと、小学生の頃から知る、大学生の愛菜だったのだ。キモ悪オヤジから愛菜を守ろうとにらみを利かせる2人だったが……。(「アリス」)

 恋愛とまでは言えない、男女の微妙な感情を描いた5編の短編集。「アリス」では勘違い男として描かれる津田が第2話「説教師」では別の顔をのぞかせる。ほか、学生時代を一緒に過ごした夫の仲間に焼きもちを焼く妻を描く「マドンナのテーブル」など、年を重ねた男女ならではの心の揺れの描写が秀逸だ。

(光文社 1600円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐藤二朗vs橋本愛騒動が直撃! フジドラマ“出たくない俳優”&“見たくない視聴者”の二重苦

  2. 2

    趣里が7月期テレ朝ドラマで出産後初主演 続く水谷家との「蜜月」で三山凌輝にも復活説

  3. 3

    萩本欽一〈24〉相方の坂上二郎さんとは「遊ばない・食事しない・夢を語らない」を徹底した事情

  4. 4

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ

  5. 5

    “キムタク効果”見込んだ吉野家の戦略は残念な結果に…ファンの間に沸き起こる「藤田ニコル復帰待望論」

  1. 6

    佐藤二朗騒動の余波!「福田組」の長澤まさみへの“ハラスメント”舞台挨拶の悪ノリ動画が再注目…女性視聴者は嫌悪

  2. 7

    ソフトバンク「佐々木麟太郎シフト」着々…同ポジションの中村晃引退、山川穂高二軍塩漬けが伏線

  3. 8

    「夫婦別姓刑事」とフジテレビの時代錯誤…“看板に偽りあり”のタイトルと「超・年の差婚」設定への嫌悪感

  4. 9

    萩本欽一〈25〉「車椅子でも絶対に明治座に出す」脳梗塞で左半身麻痺の坂上二郎さんを奮い立たせたひと言

  5. 10

    維新また猿芝居…国会空転トップ会談で定数削減法案に“白旗”も「今時点で取り下げない」と強がるワケ