「恋愛未満」篠田節子著

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 東京近郊の学園都市に住む主婦の初恵は、市民吹奏楽団の創立メンバーの一人。団員は器用にフルートを操る小学生から80歳を過ぎた元ジャズマンまで総勢40人で、性格や過去まで知り尽くす家族のような間柄だ。

 ある日、初恵は同じ団員の津田孝正がクラリネット担当のひとみに急接近していると知り、カフェにひとみを呼び出した。大学教授の津田はハンサムでファンも多かったが、学問に打ち込みすぎたせいか50歳を過ぎていまだ独身。片やひとみも40歳目前で独身だ。津田の性格の良さを知る初恵はひとみをたき付けるが、その数日後、初恵とひとみは津田の本当の意中の相手を知る。なんと、小学生の頃から知る、大学生の愛菜だったのだ。キモ悪オヤジから愛菜を守ろうとにらみを利かせる2人だったが……。(「アリス」)

 恋愛とまでは言えない、男女の微妙な感情を描いた5編の短編集。「アリス」では勘違い男として描かれる津田が第2話「説教師」では別の顔をのぞかせる。ほか、学生時代を一緒に過ごした夫の仲間に焼きもちを焼く妻を描く「マドンナのテーブル」など、年を重ねた男女ならではの心の揺れの描写が秀逸だ。

(光文社 1600円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

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