「空芯手帳」八木詠美著

公開日: 更新日:

 課長が「柴田さん、まだ片付いていないみたいなんだよ、商談スペースのコーヒーカップ」と言って自席に戻った。私は「今妊娠していて。コーヒーのにおい、すごくつわりにくるんです」と言った。こうして私は“妊娠”した。人事課に出産予定日を聞かれて、適当に来年の5月中旬と答えたので、今は妊娠5週目ということに。

 体調が安定するまで定時上がりにしてもらったら、電車が混んでいて、5時すぎに退勤する人が多いのに驚いた。「おなかに赤ちゃんがいます」キーホルダーを駅でもらってバッグに付けた。13週目に来てはいけないものが来たので、気づかれないように一般客も使う1階のトイレに行く。

 女だから引き受けなくてはならない雑用やセクハラにキレて、未婚なのに妊娠を装った女性の虚実の日々を描く。

(筑摩書房 1400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    箱根駅伝中継所ドクターは全員が順大医学部OB…なぜか協力しない大学がウジャウジャ

  2. 2

    青学大駅伝選手 皆渡星七さんの命を奪った「悪性リンパ腫」とはどんな病なのか?

  3. 3

    統一教会「自民290議員支援」で黒い癒着再燃!ゴマかす高市首相をも直撃する韓国発の“紙爆弾”

  4. 4

    「インチキ男 ジャンボ尾崎 世界の笑い物」マスターズで不正しても予選落ち(1994年)

  5. 5

    萬福(神奈川・横浜)異彩を放つカレー焼麺。常連の要望を形にした強めのとろみ

  1. 6

    浜辺美波 永瀬廉との“お泊りデート”報道追い風にCM契約アップ

  2. 7

    神田沙也加さん「自裁」の動機と遺書…恋人との確執、愛犬の死、母との断絶

  3. 8

    長澤まさみ「結婚しない女優」説を覆したサプライズ婚の舞台裏… 福永壮志監督と結びつけたのは?

  4. 9

    スライム乳の小向美奈子はストリッパー歴12年 逮捕3回経て

  5. 10

    悠仁さま初の新年一般参賀 20年後「隣に立つ皇族」は誰か? 皇室に訪れる晩婚・少子化の波