「インフォデミック」松野大介著

公開日: 更新日:

 映像ジャーナリスト志望だったしおりは、就職浪人の末に小さな番組制作会社の契約社員に。入社して3カ月が経った2020年2月、会社が制作を請け負う夕方のワイドショーの視聴率の低迷が続き、このままでは局から契約打ち切りを宣告されてしまうかもしれない。

 視聴率を挽回したい社長の田沼の指示で、流行が始まった新型コロナウイルス中心の番組作りが始まる。しおりは、事態を大げさに見せる事実とは異なる映像を番組で流すたびに疑問がふくらむ。しかし、それは口に出せない。第2波の最中、都知事選が行われ、現職が圧勝。しおりはその勝利にも番組が加担しているとしか思えない。

 TV業界の舞台裏を赤裸々に描きながら、業界側からコロナ禍を見つめた書き下ろしエンターテインメント。

(講談社 704円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い