「非戦の安全保障論」柳澤協二、伊勢﨑賢治、加藤朗、林吉永著 自衛隊を活かす会編

公開日: 更新日:

 ロシアによるウクライナ侵攻を機に、国内でも中国を念頭に「防衛力の抜本的強化」とか「敵基地攻撃」や「核共有」などの勇ましい議論が持ち上がっている。しかし、歴代内閣の安全保障・危機管理関係の実務を担当してきた著者のひとり、柳澤氏は国土が狭く、人口は減少、エネルギーと食料も自給できず、政治は内向き、そして現状維持を欲する国民性の日本は戦争には向いていないと断言する。そんな国が防衛予算を増やして敵地に届くミサイルを持つことで強くなったと錯覚に陥ったら、それは愚かで危ういことだと忠告する。

 本書は、安全保障に精通した各界の専門家がウクライナ戦争があらわにした国際秩序の問題点と日本の安全保障について論じ合う。

(集英社 990円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性