「縄文語への道」筒井功著

公開日: 更新日:

「縄文語への道」筒井功著

 縄文時代に日本列島で使われていた縄文語は、文字資料もないため今の時代に再現することなどできるはずがないと思われがちだ。

 しかし、著者は過去に用いられた地名を手掛かりに「アオ」「クシ」「ミ」などの縄文語を割り出した。本書は、地名をそこで暮らしていた人たちが無意識に残した言葉の記録として位置づけながら、その名が縄文時代に名付けられたことを実証しようと試みている。

 たとえば「クシ」という語は、竹串などの串と髪をすくための櫛の意味で使われているが、それ以外に「岬」という意味があったと著者はいう。その証拠に日本にはクシの名がついた岬が数多くあること、朝鮮語の古語「コッ」にも、串、櫛、岬の3つの意味が見られることなどを挙げていく。

 さらに日本ではクシが島の名についている例があり、これは岬だった地形が海面上昇によって岬の付け根が水没し、先端が島として残った結果と推測。

 旧石器時代の地球は今より寒気が厳しく海面が100メートル前後も低かったとされていることを受けて、クシと命名されたのは縄文時代以前といえるのではないかと主張している。

(河出書房新社 2915円)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    国分太一コンプラ違反で無期限活動休止の「余罪」…パワハラ+性加害まがいのセクハラも

  2. 2

    クビ寸前フィリーズ3A青柳晃洋に手を差し伸べそうな国内2球団…今季年俸1000万円と格安

  3. 3

    高畑充希は「早大演劇研究会に入るため」逆算して“関西屈指の女子校”四天王寺中学に合格

  4. 4

    「育成」頭打ちの巨人と若手台頭の日本ハムには彼我の差が…評論家・山崎裕之氏がバッサリ

  5. 5

    進次郎農相ランチ“モグモグ動画”連発、妻・滝川クリステルの無関心ぶりにSNSでは批判の嵐

  1. 6

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  2. 7

    吉沢亮「国宝」が絶好調! “泥酔トラブル”も納得な唯一無二の熱演にやまぬ絶賛

  3. 8

    ドジャース大谷「二刀流復活」どころか「投打共倒れ」の危険…投手復帰から2試合8打席連続無安打の不穏

  4. 9

    銘柄米が「スポット市場」で急落、進次郎農相はドヤ顔…それでも店頭価格が下がらないナゼ? 専門家が解説

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題か...大谷の“献身投手復帰”で立場なし