「真珠とダイヤモンド」(上・下)桐野夏生著

公開日: 更新日:

「真珠とダイヤモンド」(上・下)桐野夏生著

 1986年、地元の高校を卒業した伊東水矢子は、萬三証券株式会社に入社した。中学時代に父親が病死したため、大学進学が難しかった水矢子は、給与の良い証券会社で金を貯めてから大学に行くつもりだったのだ。

 お茶くみやコピー取りなど雑務をこなす補佐的業務をする水矢子は、「フロントレディ」と呼ばれる窓口業務に就いた短大卒の小島佳那に憧れた。結婚相手を探しに来ている同僚に陰口を言われ、仲間外れにされても凜(りん)としている佳那と、フロントレディたちとは高卒事務員という立場で一線を画されていた水矢子は互いに親しみを感じて仲良くなっていった。

 そんなある日、なりふりかまわず出世をもくろむ同期の望月昭平が、野心的な佳那と組んで大勝負に乗り出すのだが……。

 証券会社を舞台に、バブル期の狂乱に巻き込まれていった若者たちの運命を描いた話題作。多くの若者が夢を描き、上昇志向をギラつかせていた時代の空気感と、その後の顛末がリアルだ。熱に浮かされたようなマネーゲームに取りつかれた一時代のエネルギーと、そこから反転して現実に直面した人々の本音が伝わってくる。

(毎日新聞出版 上巻1760円 下巻1650円)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「墓じまい」に悩むシニア 費用や遺骨の始末より問題になる「家族の愛憎問題」

  2. 2

    馬場典子アナの「人生の転機」は日テレ入社7年目“福澤一座”の旗揚げ公演の初舞台

  3. 3

    長崎でも高市首相はスカスカ挨拶…戦争責任「反省なんかしておりません」95年の発言がSNSで猛拡散

  4. 4

    八王子実践・河本ロバート監督「ライブや家族旅行も、事前に相談があれば休ませます」

  5. 5

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  1. 6

    ヤクルト「早すぎた続投宣言」の代償…池山監督の来季続投決定後に泥沼、投手陣も崩壊

  2. 7

    国害SNSを告発 森山裕・自民党前幹事長「高市おろし」キーマンに急浮上の裏…不快感に国境なし

  3. 8

    中居正広氏が熊本地震被災地を支援と報道 引退後も変わらないチャリティー精神と芸能界復帰の可能性

  4. 9

    高市早苗がナチス礼賛本に推薦文…「♪盟友ナチス♪」の高須克弥を持ち上げた安倍晋三にも共通する体質

  5. 10

    巨人ドラ1候補に花巻東・古城大翔が急浮上! 父はG戦士「振り向けば古城」、岡本和真の後釜育成急務