著者のコラム一覧
金井真紀文筆家・イラストレーター

テレビ番組の構成作家、酒場のママ見習いなどを経て2015年から文筆家・イラストレーター。著書に「世界はフムフムで満ちている」「パリのすてきなおじさん」「日本に住んでる世界のひと」など。

「地球上の中華料理店をめぐる冒険」関卓中著、斎藤栄一郎訳

公開日: 更新日:

「地球上の中華料理店をめぐる冒険」関卓中著、斎藤栄一郎訳

 世界中に中国移民がいて中華料理店がある。昨年、本欄で紹介した「地球グルメ大図鑑」にも「本国から最も遠いチャイニーズレストラン」なるページがあり、意外なところに存在する中華料理店にわたしは胸を躍らせたのだった。

 各地の中華料理店にはどんなメニューがあり、どんな料理人がいるんだろう。訪ねてみたい。

 でも世界をめぐるには莫大な資金と語学力、そして人脈が必要だなぁ(遠い目)。なんとその3つを兼ね備え、夢のプロジェクトを実行した人がいる! その壮大な旅をまとめたのが本書だ。

 5大陸15カ国の中華料理店を訪ねる旅。店は北極圏にあったり、ジャングルの中にあったりする。その土地の食材や調味料と融合し独自の進化を遂げたメニューもあれば、「こんなところで最高級本格中華に出会うとは」とたまげる一品に出会うことも。料理の描写の見事さにお腹がすく紀行文だ。

 でもこの本の本領はそこではない。中国移民の個人史から見えてくる世界の近現代史、あぁそのダイナミズムよ!

 カナダ太平洋鉄道の敷設に駆り出された大量の中国人労働者。毛沢東から逃れてベトナムに渡り、ホー・チ・ミンから逃れてさらにイスラエルに渡った人。南アでアパルトヘイト反対運動に加わった華人。マダガスカルには19世紀から中国文化が流入し「スプ・シノワーズ(ワンタンスープ)」はいまや国民食だとか。

 いや、近現代どころか明の永楽帝の時代(コロンブス以前)に大船団を率いて航海した鄭和にまで話は及ぶ。こんなスケールの大きな本は、香港生まれのマルチリンガルだというこの著者にしか書けないだろう。 (講談社 2200円)

【連載】金井真紀の本でフムフム…世界旅

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐藤二朗「橋本愛へのハラスメント」報道に猛反発…板挟みのフジテレビが抱えた厄介すぎる“爆弾”

  2. 2

    佐藤二朗「週刊文春」ハラスメント疑惑報道に猛反発の行方…スポンサー企業はCM差し替えに動くのか?

  3. 3

    佐藤二朗主演ドラマ「夫婦別姓刑事」苦戦で見えた“違和感”の正体…演技は魅力的なのにナゼ?

  4. 4

    福山雅治の“抱かれたい男”ぶりが主人公(唐沢寿明)より目立った

  5. 5

    萩本欽一〈24〉相方の坂上二郎さんとは「遊ばない・食事しない・夢を語らない」を徹底した事情

  1. 6

    レイカーズ八村塁の去就を左右するレジェンドの退団 新天地で師弟コンビ再結成に現実味

  2. 7

    DeNA三浦監督まさかの退団劇の舞台裏 フロントの現場介入にウンザリ、「よく5年も我慢」の声

  3. 8

    「過去最強」「欧州組23人」のマヤカシ…欧州ビッグクラブ“主力ゼロ”で圧倒的に足りない個の実力

  4. 9

    阪神リリーフエース石井大智 アキレス腱断裂からの復帰は9~10月大型連戦に間に合うのか?

  5. 10

    亀梨和也と田中みな実ゴールインの祝福ムードと「熟女キラー」の過去…深田恭子の反応と胸中は