「孤城 春たり」澤田瞳子著

公開日: 更新日:

「孤城 春たり」澤田瞳子著

 筆硯とそろばんの才しかない商家出の陽明学者・山田方谷は、備中松山藩の藩校、有終館の学頭を務めていた。備中松山藩は石高5万石とされていたが、実態は1万9300石に過ぎず、財政難にあえいでいる。倹約令を出し、ぜいたくな服装を禁止するなど厳しい締め付けをしているが焼け石に水だ。

 そのような状況で、山田方谷は藩の財政を担当する元締役と、その補佐役の吟味役を兼務するよう命じられた。藩内には方谷を妬む者も少なくない。20年前に藩校が火事になったときも、隣の方谷宅からのもらい火だという噂も立った。

 借財10万両の藩の財政を立て直し、10万両の蓄財を実現した幕末期の備中松山藩の改革を描く。

(徳間書店 2420円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    嵐ラストで「500億円ボロ儲け」でも“びた一文払われない”性被害者も…藤島ジュリー景子氏に問われる責任問題

  2. 2

    トリプル安で評価一変「サナエノリスク」に…為替への口先介入も一時しのぎ、“日本売り”は止まらない

  3. 3

    27年度前期朝ドラ「巡るスワン」ヒロインに森田望智 役作りで腋毛を生やし…体当たりの演技の評判と恋の噂

  4. 4

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  5. 5

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  1. 6

    元TOKIO松岡昌宏に「STARTO退所→独立」報道も…1人残されたリーダー城島茂の人望が話題になるワケ

  2. 7

    今田美桜が"あんぱん疲れ"で目黒蓮の二の舞いになる懸念…超過酷な朝ドラヒロインのスケジュール

  3. 8

    織田裕二「踊る大捜査線」復活までのドタバタ劇…ようやく製作発表も、公開が2年後になったワケ

  4. 9

    「嵐」が2019年以来の大トリか…放送開始100年「NHK紅白歌合戦」めぐる“ライバルグループ”の名前

  5. 10

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞