「七三一部隊『少年隊』の真実」エィミ・ツジモト著
「七三一部隊『少年隊』の真実」エィミ・ツジモト著
第2次世界大戦で捕虜に生体実験を行ったことで知られる七三一部隊には、「少年隊」があった。部隊長の石井四郎は、優れた頭脳を持つが家庭が裕福ではない、同郷の14歳の少年を募集した。合格した少年たちは「見ること・聞くこと・他言ならず」という誓約書に署名させられ、軍医学校に入学する。
彼らはハルビン医科大学への入学を目指して勉学に励んだが、そのかたわら「生体実験」の助手も務めさせられた。それにより、人間としての感情も剥ぎ取られていく。「マルタ」と呼ばれた捕虜が、雪の降る中で「凍傷実験」をされ、もがき苦しんで死んでゆく姿を戦後も忘れられないという少年もいた。
戦争犯罪に加担させられ、過去を隠して生きた少年たちを描くドキュメント。 (えにし書房 2750円)