「中国の逆襲 ──習近平の戦略」舛添要一著/祥伝社新書(選者:佐藤優)

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原則を軽んじると怒りを買う…中国近代史への無知が摩擦を激化させる

「中国の逆襲 ──習近平の戦略」舛添要一著/祥伝社新書

 高市早苗首相には「猛獣使い」の才能があるようで、あのトランプ米大統領とも良好な関係を続けている。韓国や東南アジア諸国との関係も良好だ。ロシア・ウクライナ戦争の関連でも、ウクライナに殺傷能力を持つ装備品(武器)の供与をしておらず、ロシアから液化天然ガス(LNG)を購入し続けている。

 おおむねうまくいっている高市外交で唯一、喉に刺さった魚の骨になっているのが中国との関係だ。きっかけは去年11月、台湾情勢が存立危機事態になりうるとの高市氏の発言に中国が猛反発したからだ。

 舛添要一氏は、<国際社会も認めている「一つの中国」という原則を軽んじれば、中国の怒りを買うことは当然である。今回に限らず、隣国・中国との間にはさまざまな問題が起こるが、日本人が中国の近代史に無知であることが、両国間の摩擦を激化させる一因となっている>との見方を示す。

 舛添氏は中国に媚びてこのような発言をしているのではない。現実主義者として、日本の国益に照らして中国の内在的論理をとらえたうえで巧みな外交を展開せよと主張しているのだ。

 習近平中国国家主席は台湾に対して特別の思いを持っている。
<台湾の対岸にある福建省で17年間勤務した習近平は、台湾には特別の思い入れがある。「中華民族の偉大な復興」を実現するには、台湾を統一することは不可欠の条件である>

 もちろん、われわれがこの理屈に付き合う必要はない。しかし、日本が習近平氏の価値観を無視し、アメリカと手を組んで中国を力で押さえつけようとしても無理だ。いまの中国は日本よりもはるかに国力の水準が高いからだ。新型コロナウイルス感染症の収束後、舛添氏は頻繁に中国を訪れ、政治エリート、知識人のみでなく一般の民衆の様子も観察している。
<中国はアヘン戦争以来の「屈辱の近代」から完全に脱却し、再びかつての世界大国の地位に上りつつある。それにともない、中国人は自信を回復しているようだ。これを、私は「中国の逆襲」「帝国の逆襲」と考えている>

 日本が中国の逆襲の標的にならないようにする細心の配慮が日本外交に求められている。 ★★★

 (2026年3月29日脱稿)

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