「すべてが円くなるように」原田マハ著
「すべてが円くなるように」原田マハ著
耳たぶに下げられた大きな真珠のイヤリング。あるいは、首の周りに連なる真珠のネックレス。「真珠の画家」と言わしめたフェルメールの展覧会を訪うため、作家で美術史家の「私」は真冬のアムステルダムにやって来た。しかしチケットは既に完売。パリからアムステルダムに向かう列車の中で、「私」はフェルメールの絵から立ち上る物語を思い出しながら、「もしも展覧会を見ることが出来たなら、あなたに捧げる物語を書く」と誓う。
ところが案の定、現地でもチケットは取れない。「私」が途方に暮れていると、事情を知ったホテルのコンシェルジュが自分のチケットを差し出した。(「フェルメールとの約束」)
真珠をモチーフに、祖母と孫、母と娘、女友達らの人生と夢を描く7つの短編集。
表紙にも描かれているフェルメールの絵画を糸口に真珠制作の現場まで物語が連なり、またパリ、シカゴ、京都と舞台も広い。貝が長い時間をかけて生み出す真珠のように、登場人物たちも迷い、傷つきながらも少しずつ円く、柔らかく輝き出す。アートに造詣の深い著者が静謐な筆致で浮かび上がらせる人々の心の裡が、まるで一枚の絵画を見るようだ。 (幻冬舎 1650円)



















