「文化が違えば、心も違う?」北山忍著

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「文化が違えば、心も違う?」北山忍著

 1990年代は、人の心は普遍的なもので、行動に文化の違いが見られたとしても、それは規範の違いからくるものだと考えられていた。例えば、日本人が他者に気を使うのは、そうする規範があるからで、それ以上でも以下でもないと。しかし、文化心理学の研究によって、人の心の性質は文化によって異なることが明らかになっているという。文化の違いはしばしば戸惑いをもたらすが、それは我々の心の構造が「文化を通して」形成されてきたことを示す証しでもあるという。

 本書は、言語や慣習が多様な「サブサハラ・アフリカ」(サハラ砂漠以南全域)に共通する「協調」するために「競争」する文化の論理など、フィールドワークによる成果を紹介しながら、文化と心の関係を解き明かし、多様性の謎に迫るお薦め本。 (岩波書店 1034円)

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