「洗礼ダイアリー」文月悠光著
「洗礼ダイアリー」文月悠光著
史上最年少の18歳で権威ある中原中也賞を受賞した著者のエッセー集。
詩人と呼ばれるようになったが、周囲の人が抱く詩人に対するイメージとのギャップをいつも感じている。詩人だろうと、会社員だろうと、パン職人だろうと、脳みその構造はみんな同じだ。でも「詩人」という怪しげな立ち位置は、自分には案外お似合いかもしれないとも思う。それは「社会で『死んだ』も同然の、『生きている』だけで驚かれてしまう、亡霊のような存在だから」だ。
大学卒業後、就職をせず、「詩人」という無職になって始めたジューススタンドのアルバイト体験や、イベントに出演後に男性客から投げかけられたセクハラ発言に端を発する考察など。次々と襲いかかってくる社会の「洗礼」に対して湧き出すモヤモヤを本音で記す。 (河出書房新社 990円)


















