「辺境的 武蔵野詩遊行」正津勉著

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「辺境的 武蔵野詩遊行」正津勉著

 武蔵野を首都のすぐ傍らにある辺境と考えると、不思議な広がりと深さをもって隠されていた姿が見えるような気がする。

 日本の女性史を最初に体系化した「女性の歴史」を書いた詩人の高群逸枝は1920年、夫の橋本憲三とともに、世田谷村満中在家の軽部家に寄宿した。雑木林の中の家に住み、詩集「日月の上に」などを発表して、ラジカルな女性詩人としてジャーナリズムにもてはやされる。国木田独歩の「武蔵野」を引用して〈独歩の武蔵野。/林の奧に坐して四顧し、/傾聴し、/睇視し、/黙想す--/そのあこがれの武蔵野の雑木林。(後略)〉などの詩を作った。

 東京の辺境を探索する詩人のエッセー。
(作品社 2970円)

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