拠点は大田原 中国政府お抱え“料理の鉄人”王志堅さんは今
それが93年12月。ホテル内の高級中華レストラン「オリエンタル・ガーデン」のオープニング料理長に就いた。「料理の鉄人」に出演したのも料理長時代だ。
「サンバレーのお客さまにフジテレビの関係者がいらっしゃって、番組プロデューサーに推薦してくれたそうです。演出上、メーンの食材は番組の最初に発表されますが、実は2週間前にはわかっていて、ワタシのときは“卵”でした」
もちろん、王さんは研究に研究を重ねて斬新なメニューを編み出した。
「ところが、スタジオ入りした瞬間、頭の中は真っ白です。すべての記憶が吹っ飛び、中国政府とサンバレーの看板を背負ってるんだから、失敗はできないって気持ちだけで卵に向かいました」
それでは道場六三郎に敗れたのも仕方ないか。
最後に、王さんには大きな目標がある。2020年に予定されている東京五輪・選手村食堂の中華料理部門の責任者になることだ。
「本場の中華料理を世界中からやって来るアスリートに味わってもらいたいんです。何万食でも仕切ってみせますよ」
店近くの自宅に夫人の母親と3人暮らし。1人娘は慶応大学を卒業し、トヨタに勤めている。