二階堂ふみ 往年の映画から学んだ「この国の空」のヒロイン像

公開日: 更新日:

 夏の意欲作として話題の映画「この国の空」(原作=高井有一、監督・脚本=荒井晴彦)は戦時下の性、隣人との愛情を描き、戦後70年の節目の作品としては異色の内容だ。主演は個性派、演技派として注目の二階堂ふみ(20)、共演・長谷川博己(38)。二階堂に意気込みを聞いた。

 この映画のお話をいただいた時、決め手となったのは荒井監督の脚本でした。その中に、詩人・茨木のり子先生の「わたしが一番きれいだったとき」がありました。私がこの詩を知ったのは中学生の時でした。教科書で初めて読んだときに“これが戦争なんだ”と実感できたんです。

 この映画では戦争そのものの悲惨な映像はありません。でも、里子(二階堂)も市毛(長谷川)も敗戦が色濃くなる日々の状況下で、すぐそこにある“死”に怯え、翻弄されます。

 そもそも戦争がなければ、2人が惹かれ合うことはなかったと思うんです。里子は戦争という非日常の中で“自分は恋ができるか”“結婚できるのだろうか”と悩んでいる。2人の関係は恋なのか、愛なのか。人間が戦争という状況に置かれた時に求め合う――それは本能かもしれません。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    前田健太「ドジャース入り」で大谷との共闘に現実味 日本復帰より「節目の10年」優先か

  2. 2

    井桁弘恵ショートカットで“山之内すず化”が加速! 「そっくり問題」いよいよ待ったナシ

  3. 3

    大阪万博は開幕1カ月を待たずトラブル続出…場当たり説明でGW後半の盛り上げムードに水を差す協会の大罪

  4. 4

    巨人阿部監督はなぜ田中将大にだけ甘いのか…2試合連続炎上でさすがに二軍調整も

  5. 5

    小田和正「77歳の現役力」の凄み…現役最年長アーティストが守り続ける“プロ意識”

  1. 6

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  2. 7

    ダウンタウン復帰が外部資金でコンテンツ配信のナゼ…松本人志に浮上した疑惑の顛末

  3. 8

    斎藤元彦・兵庫県知事が頑迷に貫く「治外法権」…公益通報を巡る国の勧告もガン無視

  4. 9

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  5. 10

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???