航空機のフライト量とウイルス伝播の関連性…感染症対策に渡航制限は有効?
航空機による人の移動は、ウイルスなどの病原体が世界中に拡散される要因のひとつです。航空機内は密室空間でもあり、呼吸器感染症の原因となるウイルスが伝播(でんぱ)するうえでは、理想的な環境といってもよいでしょう。
一方、航空機の渡航量と感染拡大の影響については、地域が限定されていたりするなど断片的な研究が多く、ウイルス伝播に関する包括的な研究データは限られていました。
そのような中、インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスについて、航空機による渡航量と感染伝播の関連性を検討した研究論文が、2025年10月27日付で感染症の専門誌に掲載されました。
この研究では、19年1月~24年7月における78カ国の旅客機データと、米国50州の旅客機データが分析されています。ひと月当たりの航空機による渡航量からウイルスの拡散率が計算され、インフルエンザウイルスおよび新型コロナウイルスに対する感染拡大リスクが検討されました。
その結果、航空機による大陸間の渡航は、ウイルスの感染拡大と関連することが示され、その影響度はインフルエンザウイルスよりも新型コロナウイルスで強いことが分かりました。特に、アジア発の航空機で感染拡大リスクが強く、ウイルスの拡散率が低い場合と比べて、拡散率が高い場合に、インフルエンザウイルスで21%、新型コロナウイルスで72%、統計学的にも有意に増加しました。
一方、米国内においては、特定の地域(サウスウエスト)を除いて、渡航量と感染拡大に明確な関連性を認めませんでした。論文著者らは「地域を絞った渡航制限が、感染症の伝播を効果的に阻止するうえで有用かもしれない」と考察しています。



















