大ヒット 吉永小百合が「母と暮らせば」で見せた渾身演技

公開日: 更新日:

 吉永小百合二宮和也が出演している「母と暮せば」がヒットしている。予想では興収20億円以上。とくに平日が強い。この1週間は各シネコンではもっとも稼働率が高かった。

 今年84歳の山田洋次監督、執念の映画化である。長崎に投下された原爆で亡くなった息子を思いやる母(吉永)のもとに、ある日突然、息子(二宮)が現れた。母は息子とかつての記憶の話を重ねながら、彼と束の間の逢瀬をもつ。

 息子を思いやる母の気持ちの凄まじさを描いて、原爆への強い怒りがあふれ出るかのような作品だ。戦後70年の今年、日本映画界はこの「母と暮せば」を送り出したことを誇りに思っていい。

 息子を失った母の筆舌に尽くしがたい悲しみが画面いっぱいに広がる。息子は母の幻想として現れるのだが、以降、徐々に母の体力が減退していくのが、実は本作のもっとも重要なところなのだ。

 吉永は、病気がちになり、次第に床に伏せる回数が多くなる母を年老いた風情で演じてみせる。これほど老境の姿をさらしたのは女優人生で初めてではないか。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  3. 3

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 4

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  5. 5

    来春WBCは日本人メジャー選手壊滅危機…ダル出場絶望、大谷&山本は参加不透明で“スカスカ侍J”に現実味

  1. 6

    詞と曲の革命児が出会った岩崎宏美という奇跡の突然変異種

  2. 7

    高市政権にも「政治とカネ」大噴出…林総務相と城内経済財政相が“文春砲”被弾でもう立ち往生

  3. 8

    「もう野球やめたる!」…俺は高卒1年目の森野将彦に“泣かされた”

  4. 9

    連立与党の維新が迫られる“踏み絵”…企業・団体献金「規制強化」公明・国民案に立憲も協力

  5. 10

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋