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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

亀梨が悪ガキ好演…中盤でも謎だらけ「怪盗山猫」の魅力

公開日: 更新日:

連載コラム「TV見るべきものは!!」】

 怪盗アルセーヌ・ルパンの孫が活躍する「ルパン三世」、「名探偵コナン」のライバルとして人気の怪盗キッドなど、日本テレビと“怪盗”は相性がいい。ドラマ「怪盗山猫」(日本テレビ系)も、その系譜を継ぐ一本になりそうだ。亀梨和也(29)がヤンチャな怪盗を喜々として演じている。

 原作は神永学の「怪盗探偵山猫」シリーズ。悪いやつから金を盗むだけでなく、悪事も暴いてしまうダークヒーローである。

 脚本の武藤将吾は映画「テルマエ・ロマエ」などで知られているが、原作を生かしながら人物を巧みにデフォルメしていく。このドラマにおける山猫も、生意気で自信満々なところは原作通りだ。しかし、武藤はそこに一見ハチャメチャな“おふざけ”キャラを加えた。

 仲間の里佳子(大塚寧々)や勝村(成宮寛貴)や真央(広瀬すず)などといる時の山猫は、まるで手のつけられない悪ガキみたいだ。この増幅キャラのおかげで、山猫の本性は容易につかめない。視聴者の「コイツ、本当は何者なんだ?」という興味が持続していく。それは大塚寧々や広瀬すずなど女性陣も同様で、中盤に至っても謎だらけだ。また、誰と誰が裏でつながっているのか、その意外性も物語を刺激的にしている。

 そうそう、女性刑事役の菜々緒(27)が大健闘だ。クールさと可愛さの合わせ技なら、今、彼女にかなう者はいないかも。
(上智大学教授・碓井広義=メディア論)

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