81年ぶり名跡復活 右近改め「三代目 市川右團次」の実力

公開日: 更新日:

 猿翁は門閥主義、血縁主義を打破し、一般家庭に生まれた子を門弟として歌舞伎役者に育て上げた点でも知られ、その筆頭が右近だった。猿翁の息子・香川照之は父子が絶縁していたので歌舞伎役者にはならず、甥の亀治郎も一門から独立していったので、一時は右近が四代目猿之助になるとの臆測もあった。だが12年に香川が歌舞伎界に入り中車を襲名、同時に亀治郎が四代目猿之助を襲名した。

 本人の胸中は分からないが、「猿之助になるかもしれない」時期の右近は、猿翁の当たり役を継いで演じていても、どこか遠慮がちだった。しかし四代目が亀治郎に決まってからは、何かふっきれたのか、あるいは四代目や中車へのライバル心からか、主役を演じる際はもちろん、敵役・相手役の時のスケールが大きくなっていた。

 猿翁と芸風が共通する右團次の名跡が空いていて、それを弟子の右近が継ぐことになったのは、収まるところに収まったといえる。本名に「右」という字があったのも、いまとなっては運命的だ。その右近の長男のタケル(本名)が、今回、同時に二代目右近となった。この新しい右近(6歳)も初舞台にして子役ながら二役と大活躍している(初お目見えは昨年6月)。

(作家・中川右介)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  2. 2

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  3. 3

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  4. 4

    片山さつき財務相の居直り開催を逆手に…高市首相「大臣規範」見直しで“パーティー解禁”の支離滅裂

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  1. 6

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  2. 7

    森田望智は苦節15年の苦労人 “ワキ毛の女王”経てブレーク…アラサーで「朝ドラ女優」抜擢のワケ

  3. 8

    臨時国会きょう閉会…維新「改革のセンターピン」定数削減頓挫、連立の“絶対条件”総崩れで手柄ゼロ

  4. 9

    阪神・佐藤輝明をドジャースが「囲い込み」か…山本由伸や朗希と関係深い広告代理店の影も見え隠れ

  5. 10

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲