清水富美加「暗黒女子」は中年男性向け 評論家が推すワケ

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 お嬢さまが通う女子高の文学サークルを舞台にしたミステリー。学園のマドンナ(飯豊)の死を巡り、サークル部員たちが“犯人”を告発する小説を朗読するといった物語だが、「見ている人によって犯人が異なり、何が真実か分からないストーリー展開は、まさに黒沢明監督が『羅生門』で見いだした手法。その後、模倣する作品は国内外で多数つくられ、日本映画界が作り上げたミステリーの伝統芸ともいえます。『暗黒女子』はカリカチュアされた女の園を舞台に、現実離れしたお嬢さまたちが出てくる斬新な設定ではありますが、中身は本格派のミステリーです」(映画批評家の前田有一氏)。

 主演の清水もいい。実にエキセントリックなキャラクターで、本人いわく「望まない仕事」のひとつだと察するが、本人の持ち味や演技力を見せ、いかんなく存在感を発揮しているのだ。

 前出の前田有一氏が続けて解説する。

「学園モノの登場人物は同じ制服姿で見分けがつきづらい。そのぶん、キャラクターを描き分けるのが難しいといわれますが、今作は清水ほか5人の美少女が出てくるのに、いずれも破綻なく生き生きと描かれています。中高年男性は総じてミステリー好きであり、美しい女優も好き。むしろ、『暗黒女子』はオジサン向けの作品ともいえる。いっそのこと、一件の騒動を逆手に取って、同世代女子にターゲットを置くのではない宣伝の打ち出し方をした方が良かったのではないでしょうか。悔やまれますね」

 主演女優がメンタルを擦り減らしてでも挑んで出た作品だ。劇場で見ないともったいない!

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