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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

長谷川博己「小さな巨人」に“原点”「鈴木先生」を見た

公開日: 更新日:

 長谷川博己(40)、満を持しての「日曜劇場」登場だ。昨年NHK・BSプレミアムで放送された「獄門島」もよかったし、映画「シン・ゴジラ」でも存在感を示した。しかし長谷川の代表作は、何といっても「鈴木先生」(テレビ東京系、11年)である。

 長谷川が演じた中学教師のキャラが際立っていた。教育熱心といえば非常に熱心。いつも生徒のことを考えているし、観察眼も鋭い。しかしそれは教室を自分の教育理論の実験場だと思っているからで、単なる熱血教師ではない。この「ちょっと変わった先生」が巻き起こす、小さな“教育革命”が目を引いた。

 さて、「小さな巨人」(TBS系)だ。出世街道を順調に歩んでいた警視庁捜査1課の刑事・香坂(長谷川)が、上司である捜査1課長・小野田(香川照之)の策略で所轄署へと飛ばされる。背後にはIT企業社長の誘拐事件、社長秘書の自殺、政治家のスキャンダルといった謎がある。しかしこのドラマでは、それらの謎解きよりも香vs小野田、いや長谷川vs香川の真っ向勝負こそが見どころだ。

 香坂が異動した所轄の芝署は、いわば「鈴木先生」における担任クラスの2年A組。たたき上げの渡部(安田顕、好演)や若手の中村(竜星涼)などの刑事たちは、いわば生徒だ。彼らを巻き込みながら、もうひとりの“巨人”小野田に挑む。負けるな、長谷川先生!

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