栄養失調から新宿駅で気絶 作曲家・岡千秋さんの極貧時代

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 後で聞いた話では、牧野先生はよからぬところからの借金が膨らみ、借金取りから逃げ回ってたらしい。僕にまでお金が回ってこないわけだよね。そんなこと知らないから、「先生のお手伝いをしていたら、そのうちチャンスが回ってくるかも」と信じて疑わず、東十条にあった知り合いのアパートにタダで住まわせてもらって、青息吐息ながら前を向いて生きてた。

 その頃だね、よく貧血になったのは。東十条から歌謡教室があった神田までのわずか20分でさえ、電車に揺られると気分が悪くなった。そんな生活を長く続けられるわけがなく、次にアルバイトしたのが新宿・歌舞伎町の札幌ラーメン店。住み込みで、まかない付きだったから、本当に助かったよ。

 実はこのラーメン店が大きな転機を掴むきっかけになった。ここを辞める時に声をかけてくれたのが、よく出前に行ってた「鍛冶」というバーのママで、弾き語りをさせてもらうことになったんだ。

 そうしたら馴染み客だった人気コメディアンの玉川良一さんが僕の歌に惚れ込んでくれてね。「一緒に売り込みに行こう」って誘われて向かったのが村田英雄さん、サブちゃん(北島三郎)、藤圭子らが所属していた新栄プロ。ここで西川幸男社長に出会って作曲家の勉強をさせてもらうことになった。

 ホント、紆余曲折、山あり谷ありだよ。だけど、その時々に絶妙のタイミングでキーパーソンと巡り合い、軌道修正されて今がある。それにさまざまな仕事をしていろんな人に出会ってるから引き出しも自然と増えた。それが今、作曲家としてたくさんのインスピレーションに恵まれてる秘密だろうね。

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