19歳で芥川賞も…綿矢りさが語った栄光と挫折と今と過去

公開日: 更新日:

 2000年代初頭に彗星のごとく文壇に現れた作家・綿矢りささん(33)。最年少の19歳で「蹴りたい背中」で芥川賞受賞。17年12月には、全8編の短編小説を収録した「意識のリボン」(集英社)が発売された。作家デビューから挫折、結婚、出産を経た綿矢さんに今と過去を聞いた。

「2001年、17歳の時に『インストール』という作品で文藝賞を頂きました。受賞したときに、社会から必要とされることに感激したんです。当時の印象が今でも残っていて、小説を書くなら<自分から投げ出すことはしない>と決めました。読者の需要がなくなったら、書くことをやめると思いますが、お仕事をもらえる間は<一生懸命やろう>と決心したのを覚えています。その点はブレていないんですけど、早寝早起きとかダイエットとか、ライフスタイルに関係することはブレまくりですね……」

 7年前から、年間1本のペースで中長編小説を書いているが、4作目となる「勝手にふるえてろ」(文藝春秋、2010年)を出版する前はスランプだったという。

「原稿がボツになることが続いて、<私は続けたいけど、もう無理なのかな>とボンヤリ思ったことがありました。<うまくいかないならやめてやる>という気持ちより、少しずつ絶望していく感じでしたね。当時は自分なりの“名作”を残したくて、人間関係が複雑に絡み合う壮大な物語を書きたいって思ってました。小説家にもいろんなジャンルの人がいて、それぞれ個性があるのに、自分の個性を無視していたことが失敗の要因です。まったく小説ができなくて、でも一作書き上げようと思って、ほとんどヤケクソに書いたものが通った。良いものを書こうとするより、とにかく小説を創ろうと思ったときに、どうやって書いていたか思い出したんです」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    カーリング女子フォルティウス快進撃の裏にロコ・ソラーレからの恩恵 ミラノ五輪世界最終予選5連勝

  2. 2

    南原清隆「ヒルナンデス」終了報道で心配される“失業危機”…内村光良との不仲説の真相は?

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    「対外試合禁止期間」に見直しの声があっても、私は気に入っているんです

  5. 5

    高市政権「調整役」不在でお手上げ状態…国会会期末迫るも法案審議グダグダの異例展開

  1. 6

    円満か?反旗か? 巨人オコエ電撃退団の舞台裏

  2. 7

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  3. 8

    箱根駅伝3連覇へ私が「手応え十分」と言える理由…青学大駅伝部の走りに期待して下さい!

  4. 9

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  5. 10

    近藤真彦「合宿所」の思い出&武勇伝披露がブーメラン! 性加害の巣窟だったのに…「いつか話す」もスルー