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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

「弱者」の立場に立たない ミッツ・マングローブの“誇り”

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 テレビに最初に声がかかったのは、女装家仲間のマツコ・デラックスだった。ミッツのいとこの徳光正行の紹介で「5時に夢中!」(TOKYO MX)にピンチヒッターでゲスト出演したことがきっかけでレギュラーとなった。ミッツもやはり徳光正行の紹介で番組内の「通販コーナー」に出演。その後、「女子アナ」的なポジションに“昇格”した。

 いずれも「女装×通販」「女装×女子アナ」という強烈な“違和感”がおかしみを生んでいた。そうして、ミッツは「オネエブーム」の波にも乗って、テレビの真ん中に躍り出ていった。そんな「オネエブーム」をミッツはこのように分析している。

「いろいろな集団にわかりやすく『不幸』というレッテルを貼り、その範囲内で消費しようという傾向が強くなっている。そういう中で私たちは面白おかしくも扱えるし、かわいそうな話にも扱える『有能な弱者』というポジションなんでしょう」(朝日新聞出版「AERA」17年6月12日号)

 けれど、ミッツは「弱者」という立場には絶対に立たない。例えばテレビでは、あえて「オカマ」を自称する。今では「ホモ」同様に差別語と言われ、使いづらい言葉だ。されど、ミッツは自分の存在を「差別語」扱いされる方がよっぽど嫌だと言うのだ。「弱者」でいる限り偏見や差別はなくならない。

「逆風の中にいる誇りというものも持ち続けていたい」(同前)

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