復員兵を蝕んだPTSDとDVの世代間連鎖 映画「父と家族とわたしのこと」監督に聞く

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 米国のトランプ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相が仕掛けたイラン攻撃開始から1週間。イラン側の死者は1200人を超え、泥沼化の一途だ。安保法制に基づく集団的自衛権の行使をめぐる懸念も強まっている。この夏で戦後81年。先の大戦の復員兵を蝕んだPTSD(心的外傷後ストレス障害)や、家族に対するDVの世代間連鎖に焦点をあてたドキュメンタリー映画「父と家族とわたしのこと」(東京・ポレポレ東中野で14日公開)を撮った島田陽磨監督(日本電波ニュース社)に戦争の傷を聞いた。

 カメラが追うのは大阪市で喫茶店を営む藤岡美千代さん、神奈川県でタクシー運転手をする市原和彦さん、シングルマザーの佐藤ゆなさん(仮名)。海軍兵だった父親から壮絶な虐待を受けた藤岡さん、陸軍工兵だった父親が母親に向けた罵声が胸に突き刺さった市原さんもまた、家族を苦しめた時期があった。DV連鎖に直面した佐藤さんは複雑性PTSDを抱えている。監督は前作「生きて、生きて、生きろ。」で3.11被災者を襲う遅発性PTSDの実態に迫った。

「前作で協力いただいた精神科医の蟻塚亮二さんは、沖縄戦を生き抜いた高齢者を苦しめる晩発性PTSDを発見し、被害者側の戦争トラウマに向き合っています。戦争の影響は内面に潜み続け、数十年を経てから突然メンタルに影響を及ぼすと教えられた。逆の立場の旧日本兵、海を越えて各地で加害行為を働いた復員兵のトラウマはどうなんだろうか。そう考え、『PTSDの日本兵家族会・寄り添う市民の会』の黒井秋夫代表にアプローチしたのが入り口でした。取材を進める中でハッキリとしたのは、戦争トラウマはやはり3世代、4世代に及んでいるということ。その実態と同時に、当事者が生きづらさを解消して自分の人生を取り戻していく過程を追うことができました」

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