著者のコラム一覧
大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

「判決、ふたつの希望」 言葉の暴力と肉体的暴力への結論

公開日: 更新日:

 映画とは、何と凄いものなんだろう。そんな感慨が素直に体に染みわたってくるのが、レバノン映画の「判決、ふたつの希望」だ。都内は1館だけの公開。これが連日満席に近い状況でヒットしている。客層は年配者中心ではあるが、多様なジャンルの作品に関心をもつことができる日本人の感性に安心した。

 レバノン映画と聞いて、小難しい政治劇を連想する人もいようが、全く違う。中東の複雑な人間模様が、ある事件をきっかけに開かれた裁判を経て、国中の大騒動を引き起こしていく。とてもダイナミックな展開で、まるで優れたサスペンス映画のようだった。

 レバノンは多くのパレスチナ難民を受け入れており、本作はレバノン人とパレスチナ人の2人の対立が中心軸となる。その根は宗教の違い、過去の内戦から、現在のわだかまりまで多岐にわたる。2人の軋轢の所在が的確な表現で描かれ緊迫感もあるので、ワクワクしながら見ていられる。

 2人ともに実直ではあるが、欠点ももっている。人格、人種、立場によって、優劣があるようには描かれない。これが見事であった。人間を分け隔てしないこの対等な視点が、対立の本質を逆にあからさまにするからだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高市首相が自衛隊派遣めぐり安倍側近と壮絶バトル→「クビ切り宣言」の恐るべき暴走ぶり “粛清連発”も画策か

  2. 2

    世界陸上マラソンで金メダル谷口浩美さんは年金もらい、炊事洗濯の私生活。通学路の旗振り当番も日課に

  3. 3

    九州国際大付野球部で暴力事件 楠城監督が日刊ゲンダイに明かした「不祥事」への言い分

  4. 4

    駐車トラブルの柏原崇 畑野浩子と離婚

  5. 5

    江角マキコさん「落書き騒動の真相」を初めて語る…人気YouTuberの配信に抗議

  1. 6

    クビになってからの逃避行 ミニカーファンの同志30人とエコノミーでドイツへ飛んだ

  2. 7

    元横綱照ノ富士「暴行事件」の一因に“大嫌いな白鵬” 2人の壮絶因縁に注目集まる

  3. 8

    石油備蓄に奇妙な“二重基準”…1日の消費量が日本政府は「176万バレル」で国際基準は「336万バレル」のナゼ

  4. 9

    レベルの低い“寄せ集め集団”を見渡し、失った自信を取り戻した感覚があった

  5. 10

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった