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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

「分からなさ」を残しているからタモリの人気は長く続く

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子どもから大人まで、お年寄りまで分かるような番組をやろうと思ったことは、一度もないですね。分かんないところは分かんないでいい」(タモリ日本テレビ「newszero」10月2日放送)

 新メインキャスターの有働由美子との対談で、タモリ(73)は「見てる方に立って何かをやったりするっていうことは、ほとんどないのかもしれないね。自分が面白いから自分でやってる」と、自らのスタンスを語った。

 対する有働は、自分は全く逆で「視聴者の方が何が分からないかっていうのを考える癖みたいなのをつけてるので、自分が面白いかどうかは分からない」と言う。分からないことがあったら、視聴者が離れてしまうのではないか。だから、万人に分かるような番組をやろうと考えてやってきた、と。それを聞いてタモリが返した言葉を今週は取り上げたい。

 タモリは新人の頃、常に言われてきた言葉があるという。それは「テレビ見てる人には分かんないよ」。確かに、タモリの芸は決して分かりやすいものではない。

 たとえば、漫才コンビばかりが、もてはやされた漫才ブームの頃。今で言う「ネタ番組」に呼ばれることはあっても、ピン芸人であるタモリは添え物的な扱いだった。そんな時、タモリは何が漫才だというちょっとした反骨心もあり、ウケないのが気持ちいいという境地に至りながら「誰でもできるチック・コリア」という芸を披露していた。

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