著者のコラム一覧
井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

元気な昭和を作った田中角栄の伝記なら最高傑作になるかも

公開日: 更新日:

 沖縄の人たちはほんとに哀れだ。県民投票で「辺野古埋め立て反対」票が大多数だったのに、アベ政府は「真摯に受け止めます」と言ったきり、工事は中止されず続いている。あの日本一危ない普天間飛行場の返還、運用を停止させるために本当にあの青い海際に、代わりの基地を造らないと米軍はやっていけないのか? 不思議でならない。誰か知恵のある人間が出てこないのか。今からでも遅くないし、別の代替計画案ぐらい出ないのかと思う。アベ君よ、真摯に受け止めたなら聞き流さないで真摯に考え直したらどうだ。思うにこの将来、北朝鮮軍はもうソウルに攻め入らないだろうし、尖閣諸島に中国軍だって上陸してくるかな? 南海のどこか離島に基地ぐらい造れないのか。今こそ、政治屋の知恵者が沖縄県民のために登場する時が来たんじゃないのか。

 楽しい映画の話を。米軍基地の行く末より、先日、発表されたアカデミー賞の行方の予想はすぐ出来た。最高の栄誉である「作品賞」は絶対にこれだと予想したとおり、「グリーンブック」という深刻だが心地良い感動作が選ばれた。1960年代アメリカ南部の激しい黒人差別を前に、冴えたエスプリに満ちたロードムービーだ。白人・黒人・メキシコ移民、人種が混在するトランプ時代にこそうってつけの秀作。「最近は作品賞は小粒になって、授賞式も派手さがなく興ざめ」などと言うバカ評論家がいるが、映画に小粒も大粒もないぞ。20年前の作品賞「タイタニック」なんて大粒の大ざっぱもいいとこ。北大西洋の大海が舞台なのに波も静かで、スジも幼稚な古くさい恋愛話でカスっていた。あんなのが衆愚の心をほんとに掴んでいたのか、疑わしかった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」