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由紀さおり歌手

1948年、群馬県桐生市生まれ。3歳で横浜へ。ひばり児童合唱団出身。洗足学園短期大学英文科卒。1969年、「夜明けのスキャット」が大ヒット。紅白歌合戦に10年連続出場。実姉の安田祥子とも童謡コンサートを続け、2011年に発売したピンク・マルティーニとのコラボレーションアルバム「1969」が世界的大ヒットを記録した。

童謡アルバムを会場で手売り 年10ヶ所の出前コンサートも

公開日: 更新日:

 NHKホールでの15周年の童謡コンサートの後、母が「あなたたちの童謡のアルバムを私のために作ってちょうだい」と言い出したのね。それをレコード会社に伝えたら、「教材なら……」と冷たくあしらわれちゃったんです。

 時代はバブル絶頂期ですからね。童謡なんてだれも売れるとは思いません。でも、プロが歌うんだから、「レコード屋さんで売っていなくて教材だけなんて嫌よね」って、あの時は姉と2人で憤慨しました。そしてだれも見向きもしてくれない状況が2年続きました。

 それで、母がレコード会社(東芝EMI)のトップに直談判しに行っちゃったんです。「私の棺にいれる1枚の童謡のアルバムを作りたいんです」と掛け合った。「お母さんにそう言われちゃったら」と向こうが折れ、やっと作ることになったんです。

「夜明けのスキャット」と同じディレクターの方にお願いしました。彼は「童謡・唱歌というのは日本人みんなが思いを寄せて聴いてきた歌だから、2人の個人的な思いを入れるのはやめましょう」という考えでした。つまり「ふるさと」はだれかの故郷ではなくて、みんなの「ふるさと」でなければならないと。だから、「由紀さん、ちょっと『由紀さおり風』が出てます」といわれたりしました。

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