著者のコラム一覧
小田桐誠立教大学・武蔵大学非常勤講師

1953年青森県生まれ。出版社勤務を経て79年から著述業に専念。著書に「ドキュメント生協」「消えたお妃候補たち」「PTA改造講座」「テレビのからくり」「NHKはなぜ金持ちなのか?」など。07年9月から15年3月までBPO「放送と青少年に関する委員会」委員を務める。

日経プラス10サタデーMCの山川龍雄 社会的弱者を想定して

公開日: 更新日:

診断結果は…【可】

 夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯が95歳まで生きたら2000万円の不足が生じるとした金融庁の「金融審議会」の報告書は参院選の大きな争点になりそうだ。報告書を受け取らない麻生副総理に、野党は「政権にとって不都合な真実を隠そうとしている」と攻めているが、実は報告書には多様な内容が盛り込まれている。

 このジャンルの問題を番組で多角的かつ深く理解しようとすれば、日本経済新聞グループだろうと、15日午前のBSテレ東「日経プラス10サタデー ニュースの疑問」を見た。MCは「日経ビジネス」編集委員の山川龍雄(53)。京大経済学部卒業後、花王に入社、その後日経BPに転じた異色のキャリアを持つ。報告書に関して番組が提示した論点は①なぜこの報告書が炎上したのか②2000万円不足するのは本当か③安心できる年金制度とは――の3点。とくに集中したのは②。

 第一生命経済研究所エコノミストの永濱利廣が「60代の金融資産保有額は平均1849万円で中央値が1000万円。ゼロの人も20%いる」と解説。明大准教授の飯田泰之は「支出のその他には衣服や家事用品が含まれるが、6・2万円はかなり多い」と話した。「年を取っていくほど使わなくなる」という永濱に山川は「確かに使わなくなりますね」と受けながら「心配な部分も。例えば医療費。(患者の)1割負担で持ちますかね」と疑問を投げかけた。議論を深める優れた姿勢である。

 ついでに、医療・介護費をどう見積もるか、金融資産がない世帯はどうするのかといった見通しも示して欲しかった。山川は議論を深める手だてはうまいが、日経グループを支える読者や視聴者は高収入世帯。社会的弱者を想定した議論を進めていく視点がもっとあっていい。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  4. 4

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  5. 5

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  1. 6

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  2. 7

    豊作だった秋ドラマ!「続編」を期待したい6作 「ザ・トラベルナース」はドクターXに続く看板になる

  3. 8

    巨人・岡本和真の意中は名門ヤンキース…来オフのメジャー挑戦へ「1年残留代」込みの年俸大幅増

  4. 9

    悠仁さまは東大農学部第1次選考合格者の中にいるのか? 筑波大を受験した様子は確認されず…

  5. 10

    中山美穂さんが「愛し愛された」理由…和田アキ子、田原俊彦、芸能リポーターら数々証言