著者のコラム一覧
井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

沢尻エリカと宮迫という芸能者とテレビという無粋な世間

公開日: 更新日:

「世間のまなざし」って何なんだろ。公の秩序、善良な風俗といっても実は得体が知れないし、まとわりつかれると気が悪い。例えば、沢尻エリカが公判に、紺のスーツ姿で赤い口紅までひいて立ったのは“いかにも女優みたいで役を演じてるようだった”とか、芸人の宮迫がユーチューブで闇アルバイトを謝罪したら“あれは演技で反省していない、復帰は早過ぎだ”とか。それが秩序、良俗か。世間はやかましい限りだ。

 先日も、エリカの育ての親だというレッテルだけで、見もしなかったテレビのミヤネ屋なんぞにまで呼ばれて「女優復帰はどうなんでしょう?」などと、こっちは知る由もない質問をされ、揚げ句に「19歳から大麻を吸ってたと法廷で述べたそうですが『パッチギ!』の公開の年ですが、もうそんな頃から悪い大人たちが周りにいたということですか?」と、まるでこっちまでそんな大人だったような無礼な言われようで、本当に本番中ずっと気分が悪かった。あれが飲み屋だったら怒鳴り返していたな。

 彼女は18歳でパッチギの現場でその辺の女子じゃマネできない迫真の演技をしたのは確かだが、その後、どんな仕事が続いてどんな暮らしになったかなんて家族でもないし、知る由もないのだ。テレビ屋になめられたもんだと思うと腹が立ち、久しぶりの我が青春の大阪だというのに気が失せて、心斎橋の馴染みのオムライス屋に寄るのも忘れて、新幹線に飛び乗ってしまった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ