東ちづるさん 仏絵本のカロリーヌに憧れて自由な冒険心を

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「ここにいたら、おばあちゃんになっても食べていけるよ。でも、東京には君のようなタレントはごまんといる。またスタート地点に立つの?」

 そう周囲から反対されたし、コネもなければ友達も親戚もいなかったけれど、台本より面白いことをやれば次につながる、道は開かれると信じて賭けました。

 平成元年、30歳になろうという私は渋谷のスクランブル交差点に立ち、どうしてこんなにたくさんの人が集まるのだろう、どうやったらそんなにスタスタと渡れるんだろうって目を丸くするばかり。それでも仕事はきた。ドラマ、バラエティー、報道番組。幅広くやらせてもらうなか、やがて、女優でも芸人でもジャーナリストでもない自分に気づくのです。それでまた母のお人形だった頃のように、例えば取材では質問を先回りして、相手の望むコメントを望まれている以上に応えてしまう。「お嫁さんにしたい」というキャッチフレーズでは、結婚なんて全く考えず、ただガツガツした野望を胸に仕事する私との間にどうしようもないギャップを感じ、悩み、苦しくもあった。


 そんな言いしれぬ思いを抱えていたからか、上京から2年、白血病の17歳の青年のドキュメンタリーを見たとき、淡々と前を向く姿に心がリンクして、絶対に心の中では泣いている、何かものすごく苦悩していることが伝わってきました。

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