東ちづるさん 仏絵本のカロリーヌに憧れて自由な冒険心を

公開日: 更新日:

「ここにいたら、おばあちゃんになっても食べていけるよ。でも、東京には君のようなタレントはごまんといる。またスタート地点に立つの?」

 そう周囲から反対されたし、コネもなければ友達も親戚もいなかったけれど、台本より面白いことをやれば次につながる、道は開かれると信じて賭けました。

 平成元年、30歳になろうという私は渋谷のスクランブル交差点に立ち、どうしてこんなにたくさんの人が集まるのだろう、どうやったらそんなにスタスタと渡れるんだろうって目を丸くするばかり。それでも仕事はきた。ドラマ、バラエティー、報道番組。幅広くやらせてもらうなか、やがて、女優でも芸人でもジャーナリストでもない自分に気づくのです。それでまた母のお人形だった頃のように、例えば取材では質問を先回りして、相手の望むコメントを望まれている以上に応えてしまう。「お嫁さんにしたい」というキャッチフレーズでは、結婚なんて全く考えず、ただガツガツした野望を胸に仕事する私との間にどうしようもないギャップを感じ、悩み、苦しくもあった。


 そんな言いしれぬ思いを抱えていたからか、上京から2年、白血病の17歳の青年のドキュメンタリーを見たとき、淡々と前を向く姿に心がリンクして、絶対に心の中では泣いている、何かものすごく苦悩していることが伝わってきました。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    号泣の渋野日向子に「スイングより、歩き方から見直せ!」スポーツサイエンスの第一人者が指摘

  2. 2

    風間俊介がジャニーズJr.のセンターの座を捨てて都立高校受験に専念した意外な理由

  3. 3

    崖っぷち渋野日向子に「日本人キャディーと縁を切れ」の声…外国人起用にこれだけのメリット

  4. 4

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  5. 5

    侍J井端監督に大ピンチ!ヤクルト村上、阪神才木ら米挑戦組「WBC全員辞退」の可能性

  1. 6

    松重豊は福岡の人気私立「西南学院」から明大文学部に 学費の問題で日大芸術学部は断念

  2. 7

    そうだ、風邪をひけばいいんだ!減量に行き詰まった末、裸同然で極寒の庭へ飛び出した

  3. 8

    カムバック星野監督の“2カ月20kg”の無茶ぶりに「嫌です」なんて言えるはずもなく…

  4. 9

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  5. 10

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校