コロナとテレビ<下>メディアとしての矜持がかかっている

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 最近番組の冒頭に「これは2月◯日に放送されたものです」と例外なく明示されるようになった。元気よく発言し、明るく笑いを取るタレントやお笑い芸人がコロナ禍に陥った日本と世界の暗さと違和感があるからとテレビ関係者は考えているのだろう。いつの間にかテレビはクレームやネット炎上から身をかわすためにこのような対処法をするようになったのだ。コンプライアンス上の問題とはいえ、テレビ局員がサラリーマン的に身を守ることに傾いていることの表れでもある。

 80年代、90年代の視聴率競争はまさに戦争だった。私が担当していた「世界まる見え!テレビ特捜部」はウラ番組が強敵「水戸黄門」で、一番視聴率が上がる“由美かおるの入浴シーン”にその週の最強コンテンツを充てるなど、敵を分析、駆逐するために必死だった。同じ月曜8時、志村さんの「だいじょうぶだぁ」の裏番組で私はビートたけし所ジョージコンビの「まる見え」で窮地に追い込んだこともあった。最近は制作側も「長く続いてよかったね」というほのぼのした雰囲気になり、あの頃のギラギラしたライバル心はなくなったように思う。

 ビートたけしさんは志村さんの悲報に「喪失感みたいなものがすごくある。同じ空気を吸っていた『戦友』を失った感じなんだ」と語っている。たけしさんは80年代、土曜の8時の「8時だョ!全員集合」と「オレたちひょうきん族」という高視聴率番組同士の総力戦による“共倒れ”を評していたのだが、エンターテインメントは好敵手同士の戦いや悲惨な状況の中で新しい革命が起きる。

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