著者のコラム一覧
荒木経惟写真家

1940年、東京生まれ。千葉大工学部卒。電通を経て、72年にフリーの写真家となる。国内外で多数の個展を開催。2008年、オーストリア政府から最高位の「科学・芸術勲章」を叙勲。写真集・著作は550冊以上。近著に傘寿記念の書籍「荒木経惟、写真に生きる。荒木経惟、写真に生きる。 (撮影・野村佐紀子)

<10>披露宴で妻・陽子のヌードを上映したら祖母が寝込んだ

公開日: 更新日:

 陽子と初めて会ったのは、電通の企業案内誌を作るというときに、それに載せる写真を撮るっていうんで、いろんな部署をまわったときなんだ。若い女の子が集まっている和文タイプ室(総務局文書部)でね、陽子に会った。ローライで撮ったこの写真、陽子がセンターにいるだろ。意識的じゃないけど、無意識に真ん中に陽子を置いて、他の女は脇役だね。でも内緒だけど、もう一人、気になるのがいて、すかさずオレ、ナンバーツーを脇に座らせて(笑)。陽子の隣に寄りかかってる正座の女だよ、なっ、そう言われるとわかるだろ、オレの好みがね(笑)。

 陽子は白鴎高校を出てたんだ。オレは上野高校だろ。陽子は最初、オレに声かけられたときは、下駄履いて赤いTシャツで電通に来ているから、この人何だろうって思ったらしいよ。「これ終わったらオレのスタジオがあるから来い」なんて言うしさ。スタジオを自由に使えたからね。あの頃の電通は懐がでかいから(笑)。そこで、パッと、どさくさにさ、「オレはモディリアーニが好きだけど、そんなふうには撮らないから。<アラ>キスリングに撮るから」って言うと、通じるんだよ。そんでね、向こうが安心したのが、単なる不良じゃないってこと。「え? 上野高校?」って。その頃はさ、白鴎の女と上野高校の男っつうのがコンビなんだよね(笑)。生まれもオレん家の三ノ輪に近い千住だったんだ。

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