「心アミロイドーシス」の診断と治療は大きく進歩している
「心アミロイドーシス」という病気をご存じでしょうか。
アミロイドという異常なタンパク質が全身のさまざまな臓器に沈着し、それぞれ機能障害を起こす病気を「アミロイドーシス」といい、それが心臓に起こったものが心アミロイドーシスです。
これまで患者数は少ないとみられていましたが、近年の診断技術の進歩によって、潜在的な患者数は数万人近くいることがわかったといわれています。2022年に心不全により亡くなった元プロレスラーのアントニオ猪木さんも、心アミロイドーシスで闘病を続けていました。
心臓にアミロイドが沈着すると、心室の壁が厚くなる心肥大を来して心臓が広がりにくくなり、病状が進むと今度は縮まりにくくなります。そうなると、心臓のポンプ機能が低下して全身に十分な血液を送り出せなくなり、重度の心不全が起こります。心原性脳梗塞の原因になる心房細動や、心室細動などの致死性不整脈も起こしやすくなり、確定診断がついた場合は非常に予後が悪い疾患といえます。
それが近年、診断技術や治療薬の進歩によって、道が大きく開けてきました。


















