二田一比古
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二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

橋下徹に藤川球児 情報番組やスポーツ中継は“解説者”が鍵

公開日: 更新日:

 情報番組やスポーツ番組に欠かせないのが解説者。視聴率も解説者に左右される時代だ。羽鳥慎一「モーニングショー」もテレビ朝日社員の玉川徹氏の熱弁解説が好調の一因と言われている。

 1年以上にわたり続くコロナ関連の話題でも、解説者の人選が視聴率に影響する。医師などの専門家は別にして、総合力で抜きんでているのが橋下徹氏だ。元大阪府知事の経験に基づいた解説と意見。さらに政界に踏み込んだ忖度なしの話は説得力もあり、視聴者の関心を高めている。

「きちんと根拠に基づいた批判。間違えれば素直に謝罪する潔さも心地いい」(テレビ関係者)

 橋下氏は日本テレビ、TBS、フジテレビと一番組に縛られることなく不定期に出演している。橋下氏の出演で視聴率アップが期待できる。新聞ラテ欄には決まって「橋下解説」と打つ。「橋下氏の話は聞きたい」と、その日だけはチャンネルを合わせる人も少なくない。

 スポーツ番組も解説者の力が大切だと実感したのが、今年のプロ野球中継。近年、プロ野球中継は野球離れなどさまざまな要因もあって人気は低迷中だ。今はBS放送が主体だが、視聴率を取るため苦肉の策で、日テレは開幕当初、地上波で5、6人の解説者と亀梨和也が「次に投げる球種を当てる」というゲームをやっていた。

 策に溺れるとはこのこと。本来スポーツは純粋にスポーツをそのまま放送するのが原点だ。加えるのは解説者だけだ。その人選は番組への影響が大きい。解説するのは元野球選手だが、「あそこで打っていたら、試合展開は変わっていた」など「たられば」の話を平気でする解説者もいるが、なぜ打てなかったか、なぜ打たれたかを解説してこそプロの解説者というものだ。視聴者もそこに期待している。素人でも言える解説は中継に水を差すだけだ。

藤川球児の解説は現役時代に匹敵するような鋭さ

 かつて野村克也氏は監督采配についても私見を述べるなど、選手・監督実績に基づいた解説で人気があった。近年はそんな解説者が少なかった。

「ポスト野村」の出現が待たれていたなか、今年は藤川球児という凄い解説者が現れた。元阪神の抑えのエースとして活躍した実績があるとはいえ、解説は勝手が違うもの。期待と不安で中継を聞いてみたが、現役時代に匹敵するような鋭さがあった。

「今投げたボールは凡打に打ち取るための伏線になる」「空振りでも強く振り抜いたことで投手は次に投げる球を悩む」と目からウロコの話が続く。野球に精通した人でも「なるほど」と膝を叩く。野球がもっと面白くなる価値ある解説は野球中継の見方を変える期待が持てる。

「現役引退後、解説者になるのも狭き門」といわれる厳しい世界。解説者になる人は安定を求めて一局専属を取りたがるものだが、藤川氏はフリー解説者として自由に番組を選んでいる。オファーが来る自信があったのだろう。実際、NHKから日テレ、フジと自由に番組を選んで解説を務めている。使う側も藤川氏の解説の凄さ・人気に手応えを感じているのだろう。ラテ欄には「藤川解説」のタイトルが入るまでになった。

 番組名に関係なく、出演することで視聴率を上げる可能性の高い「潜在視聴率」を持つタレントの名を聞くが、解説者の世界でも「橋下」「藤川」が潜在視聴率を有している。

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