著者のコラム一覧
山田勝仁演劇ジャーナリスト

劇団俳優座「インク」 大衆の欲望と新聞の倫理の相克を鮮烈に活写

公開日: 更新日:

 1969年のロンドン・フリート街(新聞街)を舞台に、発行部数をめぐる新聞社間の熾烈な闘いを描いたもの。大衆の欲望とメディアの倫理という極めて今日的な問題を描いたジェイムズ・グレアムの作品(翻訳=小田島恒志、演出=真鍋卓嗣)。

 世界が激動する69年。部数低迷に喘ぐ「ザ・サン」を買収したオーストラリアの新聞社主ルパート・マードック(千賀功嗣)は他紙で腐っていたラリー・ラム(志村史人)を編集長に迎え、待遇に不満を持つ編集者をヘッドハンティングし、新しい新聞づくりを提唱する。それはインテリ向けの高級紙ではなく、労働者階級が読む娯楽紙だ。

 ターゲットは400万部という世界最大部数を誇る「デーリー・ミラー」。むろん、ミラーの編集長ヒュー・カドリック(加藤佳男)は意に介さない。

 舞台は、創刊までの新スタッフの葛藤や割り付け、校正、製版など新聞の工程を描く第1部、斬新な企画で「ミラー」を追い詰める第2部、そして勝敗の結末が明らかになる第3部で構成。

 もちろん、単純な成功譚ではない。ある血なまぐさい事件の当事者になってしまった「サン」がそれをも部数拡大に利用する非情さをも活写する。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ前監督・吉井理人氏が佐々木朗希を語る「“返事もしなかった頃”から間違いなく成長しています」

  2. 2

    矢沢永吉ライブは『永ちゃんコール』禁止で対策も…B'z『客の大熱唱』とも通じる“深刻な悩み”

  3. 3

    ロッテ前監督・吉井理人氏が大谷翔平を語る「アレを直せば、もっと良く、170kmくらい投げられる」

  4. 4

    阿部監督のせい?巨人「マエケン取り失敗」の深層 その独善的な振舞いは筒抜けだった

  5. 5

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  1. 6

    オコエ瑠偉 行方不明報道→退団の真相「巨人内に応援する人間はいない」の辛辣

  2. 7

    ロッテ前監督・吉井理人氏が2023年WBCを語る「大谷とダルのリリーフ登板は準決勝後に決まった」

  3. 8

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  4. 9

    ドラマー神保彰さん ミュージシャンになるきっかけは渋谷109オープンだった

  5. 10

    ロッテ吉井理人監督の意外な「激情時代」 コーチの延々続く説教中に箸をバーン!殴りかからん勢いで…