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山田勝仁演劇ジャーナリスト

こまつ座「日本人のへそ」“日本の中心”の虚妄を痛烈に風刺

公開日: 更新日:

 1969年に劇団テアトル・エコーが初演した井上ひさしの実質的デビュー作にして最高傑作の呼び声の高い作品。喜劇、音楽劇、日本語へのこだわり、推理劇、どんでん返しの連続……と、その後の井上戯曲のエッセンスがすべて詰め込まれている。

 舞台は東京。アメリカ帰りの言語学教授(山西惇)が吃音(きつおん)治療のために集団音楽劇療法を編み出し、患者全員で芝居をすることになる。顔ぶれは会社員(井上芳雄)、アナウンサー(朝海ひかる)、野球の審判員(久保酎吉)、右翼(土屋佑壱)、鉄道員(前田一世)ほか。

 主役は浅草で一世を風靡(ふうび)した人気ストリッパーのヘレン天津(小池栄子)。彼女は岩手の寒村から集団就職で上京する前夜、父親に犯され、ショックで吃音に。上京後はクリーニング屋の店員、トルコ嬢、ストリッパーと職を転々とし、チンピラの恋人からヤクザの大親分の情婦、右翼の大物の愛人、そして、保守党代議士の東京妻へと上り詰めていく。しかし、代議士が何者かによって刺殺され……。

 二転三転する物語展開と強烈なブラックユーモア。劇中劇の中にさらにフィクションを取り込み、虚実が入り乱れ、二重三重の入れ子構造で、ドンデン返しの連続が実にスリリング。

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