玉三郎&仁左衛門の38年ぶり「四谷怪談」は呆然の演劇体験…勘三郎とは異なる“静けさの怨念”

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 コロナ禍、歌舞伎座が客席を半分にし、上演時間も短くするなど、変則的ながらも興行を再開したのは去年の8月だったので、この異常事態も2年目になる。そのおかげと言っていいのか、玉三郎と仁左衛門の共演が相次いでいる。4月・6月の「桜姫東文章」に続いて、今月は「東海道四谷怪談」で、チケットは早々と完売した。

 緊急事態下なので「会話はご遠慮ください」「掛け声は禁止」と、もともと劇場内は静かなのだが、今月の「四谷怪談」は、ピリピリとした緊張感で、客席は針が落ちた音が聞こえそうなほど静まり返っている。

■玉三郎“お岩”の「四谷怪談」は38年ぶり

 玉三郎が「四谷怪談」のお岩を演じるのは1983年以来、38年ぶり。以後、お岩は18代目勘三郎が演じることが多かった。勘三郎の「四谷怪談」は笑いの部分もあり、客を怖がらせようというサービス精神にあふれたものだったが、今回の玉三郎・仁左衛門は、怖がらせようとはしない。化けて出る怨霊が恐ろしいのではなく、仁左衛門演じる伊右衛門の、人間を超越した冷酷さそのものが恐怖であり、その冷酷さに負けたお岩の怨念に、呆然となる。だから客席は幕が閉まるまで沸かない。めったにない演劇体験だ。

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