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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

Z世代の若者たちにスティーブ・マックィーンを薦めたい

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 先週もだが、またしても若者の“不可解な”殺人事件が佐賀県の田舎で起こっていた。大学の薬学部4年の男子、25歳。まったく面識のない80近いお婆さんが昼下がりに庭で草取りをしていたところ、大学生がハンマーで頭に殴りかかって殺したのだ。緒形拳が演じた「復讐するは我にあり」の、強盗殺人場面も思い出してしまったが、犯人の中年男はカネ欲しさだった。

 この若者の動機は全く違う。「殺せる人を探していた」というのだ。男は1990年後半から2012年ごろまでに生まれた「ジェネレーションZ」と呼ばれる、記憶がある幼児の頃からネットやスマホが目の前にあり、デジタル機器に囲まれて育った世代だが、何を思いながら育ったのか、なぜ「殺せる人を探した」のか、それが分からない。高村薫の「冷血」(12年/毎日新聞社刊)の小説でも動機のない若い殺人犯が登場したが、このハンマー大学生も、心の中がまるで見えない。この世代の若者たちに、どんな映画を見せてやればいいかなと思うのだけど見当もつかないのだ。

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